まちづくりのルール
投稿日:2007/06/26(火)
カテゴリ:所長の日記
昨日、東京大学都市工学科3年生の皆さんが、「都市工学の技術と倫理」なる講義の一環として、練馬区の最近のまちづくりに関するレクチャーを受けにまちセンを訪れました。

練馬駅南口地区を見学
前半は「練馬区まちづくり条例」やまちセンについてのレクチャー
後半は2つの地区のまち歩きを行ない、ボクも同行させてもらいました。
最初に歩いたのは、まちセンのすぐ近く
飲食店や商店、住宅が密集する「練馬駅南口地区」です。
ここは、建て替えの際には、道路に面した壁面を後退させるなどのルールを定め
少しずつまちをつくりかえていこうというまちづくりを進めています。
まちづくりのルールは、地区の皆さんが話し合いを重ねて合意したものですが
地区計画という制度を使って
こうしたルールを都市計画として定めています。
なので、ルールに従わない建物は違法となり、建てることが出来ません。
通常、このような商業地では、
特にこのような1階部分の面積が減ってしまうルールを
合意することは難しいことですが
この地区の皆さんは、自分たちの土地を少しずつ出し合って
長い時間をかけて道の空間を広げたり、街並みを整えていくというまちづくりを
強制力を伴ったルールを定めて進めています。
次に向かったのは、向山三丁目の「城南住宅組合」の住宅地です。
このまちは、大正から昭和始めころに
「田園生活の一大楽園」を創設すべく、有志が組合を設立し開発した住宅地です。
底地は組合の所有とし、
住民(組合員)は組合との間で借地契約を結んで土地を借り家を建てたのですが
その契約の中に、緑豊かで良好な住環境を守り育てるために遵守すべきルールが
定められています。
つまり、住環境を守るためのルールに実効性を持たせるために
こうした工夫をしたのですね。

生垣や庭木の緑が豊かで美しい城南住宅にて
良好な住環境はデベロッパーから買えば手に入るモノではないのですよ
学生諸君
よく「総論賛成・各論反対」という言葉を聞きます。
自分たちのまちの環境を守ろう、良くしよう、という「総論」に
異を唱える人はめったに居ません。
では、そのために具体的なルールを決めましょう、となると
とたんに「各論反対」が噴き出してくるものです。
よりよいまちづくりを目指そうとすると
ルールはどうしても厳しく制限の大きなものになってしまいがちです。
厳しすぎるルールは合意形成がそれだけ難しくなります。
また、合意ができても、守りきれない人が多く出て
結果として形骸化してしまう恐れもあります。
だからと言って内容を緩やかにし過ぎたり
強制力のない紳士協定的なものになってしまうと
ルールが無いのも同じ、という結果にもなりかねません。
どちらの地区も、こうしたせめぎあいの中で
住民の皆さんが苦労を重ねてルールづくりをし
その実効性を持たせるために知恵を絞り工夫をしてきたはずです。
まちづくりの専門的な知識をある程度持っている今回の学生さんたちでも
概要の説明を聞きながらちょっとまちを歩いただけでは
なかなかこうした背景まで感じ取ることはできなかったかナ。
でも、もし将来まちづくりに関係する仕事に携わりたいという人がいたら
こういうところを感じ取るアンテナをぜひ磨いてほしいな、と思います。



